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白紙の図書館とは?

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2016年10月20日やぶきたと鶴松改訂版#006(完結) [小説:やぶきたと鶴松]

「いらっしゃいませー。二名様ですか?こちらへどうぞー。」
(いい? 三上君、気付かれないようにね)
(な……何か緊張しますね……)
 ここは向かいの敵地、そばの鶴松。そう、千春ちゃんの
作戦とはずばりスパイ。
 さすがにタツヤと恵子は面がわれて、不向きなので
この二人がやって来たのである。
「はー、モダンながら清潔な雰囲気ね……」
「うちは老舗感が売りッスからね……」
 正直、居心地は良い。席も充実。動線も広く、開放的で、
残念ながらこのポイントはやぶきた蕎麦は劣っている。
「とりあえず頼んでみようか。値段は480円か……。
さすがに安いわね……」
「すみません、かけ蕎麦と盛り蕎麦お願いします」
「かしこまりました」
 二人は店内を観察する。 店内はお客にあふれ、
見覚えのある顔もちらほらある。
……かつてのやぶきた蕎麦の常連さんだ。
「くっ……何か悔しいッスね……」
「お客さんには、罪は無いけどね……。解るわ、その気持ち」
 苦虫を噛んだような心境で待つこと、わずか1分半。
「お待ちどうさま。こちらかけ蕎麦、こちら盛り蕎麦になります。
どうぞごゆっくり……」
 さすがチェーン店。スピードは速い。見た目はきれいな、
かけ蕎麦と盛り蕎麦。麺の量も値段からは想像できない、
十分満足なボリュームである。
「これが……」
「じゃあ、食べてみましょ。しっかり味わうのよ?」
「ウッス」
 二人は箸を取り、麺をすくい上げ、口へと運び食した。
「……!! こ、これは……え、な、何で!?」
 千春ちゃんはその味に驚愕すると同時に疑念に包まれた。
「う……美味い、千春さん!!これ、悔しいけどウチより……」
「……確かに美味しい……。でも、これは。
……いや、あり得ない……、この味は……」
 しばらくしてやぶきた蕎麦に二人が戻ってきた。二人は
力を落としている。
「二人ともどうだった? 何か変わったところなんかは?」
「……千春ちゃん?どうしたの?」
 恵子は千春ちゃんが青ざめているのを見逃さなかった。
「……向こうの方が美味しかったとか?」
「……そうなんですけど、違うんです……」
 千春ちゃんは認めるのが怖かった。何故なら……。
「同じなんです、麺の味が……ウチと……」
「なっ……!? そんな馬鹿な!?ウチの味を出すのは至難の業
だぞ!?それを盗んだって言うのか!?」
千春ちゃんの表情が暗いのはそれだけが原因ではない。
原因は……。
「つゆの味が……ウチを凌駕してるんです。それでウチ以上の
味を出しているんです」
「そんな……」
「つゆの味……」
 驚愕する二人。そんな中、三上君が。
「あ、俺……実はこっそり持って帰ってきたんス」
「……ちょっと味見していいか?」
 麺もつゆも極上のはずのやぶきた蕎麦。そのつゆの味を
超えるとなると……。タツヤは一つの可能性を感じていた。
「………………!! これは……!!」
 タツヤの仮定は確信に変わった。
「お袋の……つゆの味だ……」
『ええっ!?』
 タツヤの答えに三人は驚愕する。
 そう、それはタツヤの母、やぶきた蕎麦二代目店主の
波橋和美のそばつゆの味そのものだった。
初代店主辰衛門の味を超える、それは和美の「龍神蕎麦」
しかありえない。
「しかし……どうやってこの味を……」
 疑問に思う三人。しかし恵子には思う節があった。
「……!! ………まさか、鬼島さんの仕業!?
霊界から和美さんを降臨させ、その味を……。
……ビジネスってこういう事だったのね……。
でも和美さんは何で、敵の味方を……」
「それは分からないが、これは大きな収穫だ。
……ちょっと集中したいから、一人にしてもらっていいか?」
「大丈夫?タツヤ君……」
「……安心しろ、恵子。もう昔の俺じゃないからな」
 タツヤはそう言うと店舗の奥に入って行った。

続きは小説+お知らせ+今日の一曲。


2016年10月8日やぶきたと鶴松改訂版#005 [小説:やぶきたと鶴松]

『違ーうッ!! 破竹の構えはこうじゃ!!』
「こ……こう?」
『うむ。続いて雷電の構えの修行じゃ』
 あの日以来、タツヤと辰衛門の二人羽織のような
特訓の日々が続いていた。
 だが、傍から見ていた千春ちゃんにはどうしても
武術の特訓にしか見えない。
「……うーん……。大丈夫なのかな、これ」
 こうして修行(?)を重ねること1週間後。
見事な細マッチョに仕上がったタツヤがいた。
「こ……これは……何ともオツな……」
 さらに魅力的になったタツヤを見て、千春ちゃんは
ハァハァが止まらない。
『さあ、タツヤよ。今こそ「虎王蕎麦」伝授の時じゃ』
 タツヤは教わった通りに蕎麦を作っていく。
その姿は在りし日の辰衛門そのもの。
ものの見事な「虎王蕎麦」を作り上げた。
「わあっ……あの、試食していいですか?」
『うむ、お嬢ちゃんの神の舌なら十分じゃ』
 そういうと千春ちゃんは大事そうに蕎麦を味わう。その結果。
「……うん……うん!! 店長!! 完璧です!! おじいさんの
お蕎麦そのものですよ!!」
 その瞬間、タツヤの体から役目を終えた辰衛門の霊魂が
するりと抜けだした。
「タツヤよ。お主に教えることはもう何もない。
今後も精進し、やぶきた蕎麦の看板を守るのじゃぞ?」
「うん」
 感慨深い辰衛門に対し、極めてドライなタツヤ。
『……………………』
「……………………?」
 少しの間、沈黙が間を埋める。
『いや、何か他に言うことあるじゃろ?寂しいーとか、
行かないで―とか』
「無いよ?」
 引き止めてほしい辰衛門の態度に対し、
タツヤは全く未練はない。

『……………………』

『こ……の……孫のクセに!! じいちゃんに対する愛情は
ないんかい!!』
「ねーよ!! この一週間(精神内でだけど)俺、殴られっぱなし
じゃねえか!!」
 一方的な愛情と、この1週間のシゴキで若干、二人の間に
溝ができていた。
『よぅし……蕎麦の真髄のほかに、虎狩りの真髄も
叩き込んだるわ!!」
「おーし!! 今までの俺じゃねーぞ!! やるだけやったらぁッ!!」
 こうして味気もへったくれもないケンカが、辰衛門の
お見送りとなった。
 だが、最後に辰衛門はこう残してこの世を去った。

『いいか……? 和美にだけは気を付けるんじゃぞ?』

 和美はタツヤの母。この言葉の真意を知るのはまだ
先の事になる。

 そして数か月後、事件は急にやって来た。

 あと。
「これから、毎日あのお蕎麦打つんですね……。店、大丈夫かな」
 店の老朽化を心配する千春ちゃんに、
「それなんだけどさ。ここだけの話」
 タツヤは辰衛門の気配が完全に消えたのを確認して、
「?」
「普通に打っても、あの味……出せる」


         

続きは小説+今日の一曲。


2016年10月5日やぶきたと鶴松改訂版#004 [小説:やぶきたと鶴松]

「……さて……タツヤよ」
「ん?」
「蕎麦における一番重要な要素は何だと思う?」
 辰衛門はタツヤに問いかける。
 タツヤは長考の後、
「そうだなぁ……やっぱり香りとノド越しかな……
いや、コシも捨てがたい……でもなぁ……」
「愚か者めがァッ!!」
「ぐはぁッ!?」
 一つに絞りきれないタツヤに対し、
辰衛門は、怒りのフライングクロスチョップを喉元に
的確にかました。
「ぐちぐち、ぐちぐちと……。
こんな簡単なこともわからんのか?
それでもワシの孫かっ!!お前が今、上げた要素は確かに
重要ではある……。蕎麦はまさに総合芸術じゃ。
何一つ欠けても、真の蕎麦にはならんのじゃ」
 周りが何やら慌てているが、辰衛門は続ける。
「しかし!! 蕎麦打ちに真に必要な要素……。
それは……ん~……魂……そう、ハート、ソウルじゃ!!
これが極限まで高まれば、自然と蕎麦の呼吸を感じ、
理屈うんぬんでは語れぬ究極の美味なる蕎麦ができるのじゃ。
どうじゃ? わかったか?」
「あの、タツヤさん……息してないんですけど……」
「ぬっ!?」
 先ほどのフライングクロスチョップが相当、
綺麗に入ったためタツヤは泡を吹いて倒れている。
それを必死に介抱する千春ちゃんとミキ。

 10分後。

続きは小説+今日の一曲。


2016年9月30日やぶきたと鶴松改訂版#003 [小説:やぶきたと鶴松]

「『ぶるうれい』のメモリアルの味―!!」
 二人の男の声がユニゾンして、辺りに響き渡る。
「さて、今日は今大人気、メディアに露出過多の
恐山ミキさんの地元にやって参りました!!
ミキさん、よろしくお願いしますー」
「ど~も~、恐山ミキです。よろしく~。
って、露出過多は余計でしょ」
 紹介されてカメラにインサートしてきた恐山ミキ。
ご立腹なのも計算済み。
『ぶるうれい』とは今、大人気の漫才師。ノッポのボケ担当
村沢と、ちょっとぽっちゃりツッコミ担当の久留米で、
先日、大きな大会で優勝して大ブレイクし、
最近はこういうロケ番組にひっぱりだこ。
 特にこのグルメリポート企画はなかなか評判がよく、
このコーナーで認められれば一流店として繁盛するというほど。
 突撃でアポなし企画というのが売りだが、
ミキの行動は違反行為である。
 本人は善意のつもりでやったことだが、
別段変わったことではない。
「……そろそろ来るぞ」
「な……何だか緊張しますね……」
 タツヤと千春ちゃんは正直、委縮している。
二人ともコーナーの存在はTVで観たことがあり、
アポなしの体というのも知っている。
番組の収録はそつなく進み、
徐々にやぶきた蕎麦へと近づいてきた。
「ミキさん、今日の思い出のお店とは?」
「小橋町のやぶきた蕎麦というお店なの。
子供の頃以来だけど、とっても美味しくてね~。
……それにしてもこの町並み……変わってないなぁ……。
あ、あの氷屋でかき氷、食べてたわ!!」
 小橋町は人通りも多くなく、影の名店が多い。
それにより食通の間では、ちょっとした聖地となっている。
「さ!! 着きました、やぶきた蕎麦。
入ってみましょう。ごめん下さ~い」
「いらっしゃ……!?」
 威勢よく出迎えようとしたタツヤと千春ちゃんは
見事にカウンターパンチを食らう。
「久しぶりね、達也君。この店も変わってないわね」
「な…………な……!?」
「て……店長、あの人たち……まさか……!?」
「……? どうしたの? 二人とも?」
「どうしたも、こうしたもねーよ!!
そ……そちらの方々は……!?」
 そう、二人が驚いたのはぶるうれいの二人でも、
今日もセクシーなミキでもない。
後ろに控えた三人の超有名料理人。
 ミシュラン二つ星を4年連続取っている割烹料理
「かぶらぎ」店主、浅沼源一郎。
 アルメリア国際ホテルのオーナーシェフ、並木橋京。
 中華の世界では知らない者はいない生ける伝説
「老々酒家」料理長、孫典君。
いずれも超辛口で有名な三人である。
「何よ、ハトが猟銃くらったような顔して」
「ばっ……、そりゃ、驚くだろーが!!
何ちゅう人たちを引き連れてんだ!!」
タツヤと千春ちゃんは素直に青ざめている。
 それもそのはず。この三人に認められれば、
確かに超一流の名店の名声を手中にできるが、
彼らのおめがねにかなわなければ、廃業しても
やむなしの、大博打である。現にこの三人に潰された店は
50を超える。
「お前、どうやって連れてきたんだよ!!て、いうかこの番組、
俺も観たことあるけどいつもはこんな三人いなかっただろ!!」
 冷や汗が止まらないタツヤ。足が震える千春ちゃん。
「私の芸能界のコネクションを使えば簡単よ。
それに何の心配があるの?」
「は?」
「このお店は伝説中の伝説の名店。合格間違いナシじゃない。
更なるステップアップになること間違いなしでしょ?
感謝してよね」
「だけども、お前…それは昔の話で…」
 事情を知らないミキが妬ましくてしょうがない二人。
その時、
「あの……あなたが店主さんですね?」
『かぶらぎ』店主、浅沼がタツヤに声をかける。
「伝説の名店、やぶきた蕎麦に来られて大変、光栄です。
店主さんがお若くてびっくりしました」
「いや……そうなんですけど……」
「期待してますよ。なんせ、やぶきた蕎麦と言えば
日本一……いや世界一の蕎麦屋と名高い名店……。
我々とは格が違いますからね」
「いや……あまり、高望みされない方が……」
「何言ってんの、あの味なら、問題ないじゃない」
 事情を知らないミキがあっけらかんと口をはさむ。
 頼むからもうしゃべるな。
タツヤと千春ちゃんはもう泣きそうだ。
「お前は事情を知らないからそう言えるわけでな……」
「それでは早速、作っていただきましょうーッ!!」
「あっ!?」
 ぶるうれいの二人も空気を読まず、進行する。


続きは小説+今日の一曲。


2016年9月27日やぶきたと鶴松改訂版#002 [小説:やぶきたと鶴松]

 しかし、タツヤは何かが引っかかっている。
何だろう、と頬杖をついて椅子にもたれながら違和感の源を
脳内をフル回転させて、検索していた。
「そーだよ、どっかで見た顔なんだよな……」
「毎日見てるじゃないですか、TVで」
 千春ちゃんの意見はごもっともだが、どうやら違うらしい。
 タツヤは恐山ミキの顔をどこかで見たことがあるようだ。
「いや……ずーっと昔なんだよ、確か。誰だっけな。
えーと、誰だっけな……。
ここまで出てんだけどな……」
「?」
 今にも思い出せそうなのに、肝心な名前が出てこない。
 誰でも一度はあるであろう芸能人あるある。
そりゃあ眉間にもシワが寄る。
 そして記憶の糸を手繰ること、20分。
(この間、残念ながら一人も客は来なかった)
 そこで、タツヤの記憶からポーンと一人の人物が
ピックアップされた。
「そっか!! 山田だ、山田恵子!! アイツだ!! 
目元そのまんまだ、うっわ懐かし。
え!? 何、アイツ、今こんなケバくなってんの!?
………はー……人間、変われば変わるもんだな……」
 恐山ミキの正体を突き止めたタツヤ。はーっ……と息を
吐きだし満足げ。長いもどかしさから解放され、名探偵が
事件を解決したかの如く、タツヤは独特の爽快感を
味わっていた。それと同時に炭酸の抜けたコーラのように
放心状態に。その様子を見て千春ちゃんは、ただならぬ
危機感を持つ。
 千春ちゃんはタツヤの表情を読むことに関しては、
達人の域である。
 この表情は……。何やら嫌な予感がする。先ほどまで
あんなに怪訝(けげん)そうに見ていた恐山ミキへの表情が
明るいものになっていた。
「……えーと、店長?」
「ん?」
「……えーとですね、お知り合い……なんですか?
あのケバケバねーちゃんと」
置いてけぼりをくらった千春ちゃんは、タツヤに恐る恐る
問うてみる。
 
「ああ、同級生。小学生の時の。近所に住んでてね。
いわゆる幼馴染ってヤツだな」
 千春ちゃんの顔が若干、こわばる。幼馴染? 何と言う
好条件、好立地。
 自分の持っていないカードの存在に、羨ましさと妬ましさが
同居する。
「な……仲は良かったんですか?変な事とかして
ないですよね?まさか……」
「いやいや。アイツとは何から何までかみ合わなくてさ。
ケンカばっかりしてたよ。
昔は地味で引っ込み思案の暗い性格だから、いっつも泣いて。
そのたんびに俺、お袋に怒られてたよ。」
「そ、そーですかぁ!! 良かったぁ!! そーですよね!!
嫌いだったんですか!!
良かった、良かった!! ふぅ~……」
 その答えに千春ちゃんは、ものすごく安堵する。幼馴染……
恐れるに足らず!!
 満面の笑みで安堵する千春ちゃん。手にかいた冷や汗が、
物を言う。
 もし気になるとでも言おうものなら、いかなる手でもヤツを
亡き者に……。
 しかし、千春ちゃんがそんな危険な妄想を
めぐらせているとは一切思わず。
「え? 好きだったよ?」
「え」
 タツヤの殺人級の一言で千春ちゃんの表情が、
再びこわばる。メデューサに目を見られたかのように、石化。
がっちがちだ。がっちがち。
「ホントはいつも俺の方が悪かったし。アイツ、中学の頃に
転校してなー。告白はしてないんだよ」
「…え?」
 千春ちゃんの表情がさらにこわばる。今度は千春ちゃん
自身が妖気を纏い、その妖気が殺気と変わるまでには、
さほど時間はかからない。
 ……今回の発言でちょいストーカーにヤンデレテイストが
混ざってしまった。
「アイツ、イタコになってたのか……。まだ信じらんねぇや」
 そんな千春ちゃんの気持ちなどつゆ知らず。タツヤは椅子に
もたれかかった。
 千春ちゃん、意を決して。
「て……店長はもしかしてまだ、す、好きだったりとかは……」
 この返答次第では、自決覚悟で恐山ミキの事務所に
乗り込まんという勢い。
 どっちだ……? 千春ちゃんの命運は。
「どうだろうなぁ。実際忘れてたし……。今さっきまで。
向こうも覚えてないんじゃないかな?
覚えてても向こうは俺の事、嫌いだろうし。多分」
 このタツヤの発言で、千春ちゃんはとりあえず、
包丁の購入は保留した。
「は……はは……そうですか……」
「ん? どした、千春ちゃん? 怖い顔して」
「いや、何でも……」
 本当にタツヤは、こういう事には鈍感だ。
かくして殺人事件は未然に防がれた。

 その時、店の電話が鳴る。
(一方的に)緊迫感があった空気が若干和む。
電話に出る千春ちゃん。
「毎度どうも、やぶきた蕎麦でございます」
 パニックから完全に営業モードに切り替わる。
このスイッチの切り替えの早さが何ともはや、頼もしい限り。
「あぁ、私ナホベリプロの鬼島(きじま)と申します。
店主さんはいらっしゃいますでしょうか?」
「ナホベリプロ?」
 ナホベリプロといえば大手の芸能事務所。蕎麦屋には到底、
縁のない関係に思える。しかし千春ちゃんは瞬時に事態を悟った。
「まさか!! 私をスカウトですか?いや~、まいったなぁ~!!
そりゃあ私、可愛いってよく言われますけど、芸能人ですか? 
はたまたモデルですか? どうしよう、困っちゃったな~」
「んなワケあるかい。取材の申し込みですよ」
 勘違い上等の千春ちゃんをクールにいなす鬼島と名乗る男。
 千春ちゃんは一気にテンションが落ちる。マカオタワーの
バンジー並みに。
「あー……店長!! お電話です」
「ん?どこから?」
「芸能事務所みたいですよ?」
「……? 芸能? まぁいいか。あい、代わりました。
店主の波橋達也です」
「あー……あんたが店継いだの。お母さんは?元気にしてる?」
「ん?」

続きは小説+今日の一曲。


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