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白紙の図書館とは?

ようこそおいで下さいました。ここ、「白紙の図書館」はHAtAが書いた、
色々なものを公開中です。

現在は2016年12月1日より再開した『キャラ日記』がメインコンテンツです。
pixivでもA4サイズで公開中。お持ち帰りは自由です。

本家サイト『白紙の図書館』も更新中。
http://hatanabe.web.fc2.com/
こちらもよろしくお願いします、。

不定期になったり、集中連載になったり波はありますが、ご容赦ください。
それではどうぞごひいきに!!

前身のブログ「はたはた鍋日記」はこちらから。
http://hatanabe.blog.so-net.ne.jp/

2016年10月20日やぶきたと鶴松改訂版#006(完結) [小説:やぶきたと鶴松]

「いらっしゃいませー。二名様ですか?こちらへどうぞー。」
(いい? 三上君、気付かれないようにね)
(な……何か緊張しますね……)
 ここは向かいの敵地、そばの鶴松。そう、千春ちゃんの
作戦とはずばりスパイ。
 さすがにタツヤと恵子は面がわれて、不向きなので
この二人がやって来たのである。
「はー、モダンながら清潔な雰囲気ね……」
「うちは老舗感が売りッスからね……」
 正直、居心地は良い。席も充実。動線も広く、開放的で、
残念ながらこのポイントはやぶきた蕎麦は劣っている。
「とりあえず頼んでみようか。値段は480円か……。
さすがに安いわね……」
「すみません、かけ蕎麦と盛り蕎麦お願いします」
「かしこまりました」
 二人は店内を観察する。 店内はお客にあふれ、
見覚えのある顔もちらほらある。
……かつてのやぶきた蕎麦の常連さんだ。
「くっ……何か悔しいッスね……」
「お客さんには、罪は無いけどね……。解るわ、その気持ち」
 苦虫を噛んだような心境で待つこと、わずか1分半。
「お待ちどうさま。こちらかけ蕎麦、こちら盛り蕎麦になります。
どうぞごゆっくり……」
 さすがチェーン店。スピードは速い。見た目はきれいな、
かけ蕎麦と盛り蕎麦。麺の量も値段からは想像できない、
十分満足なボリュームである。
「これが……」
「じゃあ、食べてみましょ。しっかり味わうのよ?」
「ウッス」
 二人は箸を取り、麺をすくい上げ、口へと運び食した。
「……!! こ、これは……え、な、何で!?」
 千春ちゃんはその味に驚愕すると同時に疑念に包まれた。
「う……美味い、千春さん!!これ、悔しいけどウチより……」
「……確かに美味しい……。でも、これは。
……いや、あり得ない……、この味は……」
 しばらくしてやぶきた蕎麦に二人が戻ってきた。二人は
力を落としている。
「二人ともどうだった? 何か変わったところなんかは?」
「……千春ちゃん?どうしたの?」
 恵子は千春ちゃんが青ざめているのを見逃さなかった。
「……向こうの方が美味しかったとか?」
「……そうなんですけど、違うんです……」
 千春ちゃんは認めるのが怖かった。何故なら……。
「同じなんです、麺の味が……ウチと……」
「なっ……!? そんな馬鹿な!?ウチの味を出すのは至難の業
だぞ!?それを盗んだって言うのか!?」
千春ちゃんの表情が暗いのはそれだけが原因ではない。
原因は……。
「つゆの味が……ウチを凌駕してるんです。それでウチ以上の
味を出しているんです」
「そんな……」
「つゆの味……」
 驚愕する二人。そんな中、三上君が。
「あ、俺……実はこっそり持って帰ってきたんス」
「……ちょっと味見していいか?」
 麺もつゆも極上のはずのやぶきた蕎麦。そのつゆの味を
超えるとなると……。タツヤは一つの可能性を感じていた。
「………………!! これは……!!」
 タツヤの仮定は確信に変わった。
「お袋の……つゆの味だ……」
『ええっ!?』
 タツヤの答えに三人は驚愕する。
 そう、それはタツヤの母、やぶきた蕎麦二代目店主の
波橋和美のそばつゆの味そのものだった。
初代店主辰衛門の味を超える、それは和美の「龍神蕎麦」
しかありえない。
「しかし……どうやってこの味を……」
 疑問に思う三人。しかし恵子には思う節があった。
「……!! ………まさか、鬼島さんの仕業!?
霊界から和美さんを降臨させ、その味を……。
……ビジネスってこういう事だったのね……。
でも和美さんは何で、敵の味方を……」
「それは分からないが、これは大きな収穫だ。
……ちょっと集中したいから、一人にしてもらっていいか?」
「大丈夫?タツヤ君……」
「……安心しろ、恵子。もう昔の俺じゃないからな」
 タツヤはそう言うと店舗の奥に入って行った。

続きは小説+お知らせ+今日の一曲。


2016年10月8日やぶきたと鶴松改訂版#005 [小説:やぶきたと鶴松]

『違ーうッ!! 破竹の構えはこうじゃ!!』
「こ……こう?」
『うむ。続いて雷電の構えの修行じゃ』
 あの日以来、タツヤと辰衛門の二人羽織のような
特訓の日々が続いていた。
 だが、傍から見ていた千春ちゃんにはどうしても
武術の特訓にしか見えない。
「……うーん……。大丈夫なのかな、これ」
 こうして修行(?)を重ねること1週間後。
見事な細マッチョに仕上がったタツヤがいた。
「こ……これは……何ともオツな……」
 さらに魅力的になったタツヤを見て、千春ちゃんは
ハァハァが止まらない。
『さあ、タツヤよ。今こそ「虎王蕎麦」伝授の時じゃ』
 タツヤは教わった通りに蕎麦を作っていく。
その姿は在りし日の辰衛門そのもの。
ものの見事な「虎王蕎麦」を作り上げた。
「わあっ……あの、試食していいですか?」
『うむ、お嬢ちゃんの神の舌なら十分じゃ』
 そういうと千春ちゃんは大事そうに蕎麦を味わう。その結果。
「……うん……うん!! 店長!! 完璧です!! おじいさんの
お蕎麦そのものですよ!!」
 その瞬間、タツヤの体から役目を終えた辰衛門の霊魂が
するりと抜けだした。
「タツヤよ。お主に教えることはもう何もない。
今後も精進し、やぶきた蕎麦の看板を守るのじゃぞ?」
「うん」
 感慨深い辰衛門に対し、極めてドライなタツヤ。
『……………………』
「……………………?」
 少しの間、沈黙が間を埋める。
『いや、何か他に言うことあるじゃろ?寂しいーとか、
行かないで―とか』
「無いよ?」
 引き止めてほしい辰衛門の態度に対し、
タツヤは全く未練はない。

『……………………』

『こ……の……孫のクセに!! じいちゃんに対する愛情は
ないんかい!!』
「ねーよ!! この一週間(精神内でだけど)俺、殴られっぱなし
じゃねえか!!」
 一方的な愛情と、この1週間のシゴキで若干、二人の間に
溝ができていた。
『よぅし……蕎麦の真髄のほかに、虎狩りの真髄も
叩き込んだるわ!!」
「おーし!! 今までの俺じゃねーぞ!! やるだけやったらぁッ!!」
 こうして味気もへったくれもないケンカが、辰衛門の
お見送りとなった。
 だが、最後に辰衛門はこう残してこの世を去った。

『いいか……? 和美にだけは気を付けるんじゃぞ?』

 和美はタツヤの母。この言葉の真意を知るのはまだ
先の事になる。

 そして数か月後、事件は急にやって来た。

 あと。
「これから、毎日あのお蕎麦打つんですね……。店、大丈夫かな」
 店の老朽化を心配する千春ちゃんに、
「それなんだけどさ。ここだけの話」
 タツヤは辰衛門の気配が完全に消えたのを確認して、
「?」
「普通に打っても、あの味……出せる」


         

続きは小説+今日の一曲。


2016年10月5日やぶきたと鶴松改訂版#004 [小説:やぶきたと鶴松]

「……さて……タツヤよ」
「ん?」
「蕎麦における一番重要な要素は何だと思う?」
 辰衛門はタツヤに問いかける。
 タツヤは長考の後、
「そうだなぁ……やっぱり香りとノド越しかな……
いや、コシも捨てがたい……でもなぁ……」
「愚か者めがァッ!!」
「ぐはぁッ!?」
 一つに絞りきれないタツヤに対し、
辰衛門は、怒りのフライングクロスチョップを喉元に
的確にかました。
「ぐちぐち、ぐちぐちと……。
こんな簡単なこともわからんのか?
それでもワシの孫かっ!!お前が今、上げた要素は確かに
重要ではある……。蕎麦はまさに総合芸術じゃ。
何一つ欠けても、真の蕎麦にはならんのじゃ」
 周りが何やら慌てているが、辰衛門は続ける。
「しかし!! 蕎麦打ちに真に必要な要素……。
それは……ん~……魂……そう、ハート、ソウルじゃ!!
これが極限まで高まれば、自然と蕎麦の呼吸を感じ、
理屈うんぬんでは語れぬ究極の美味なる蕎麦ができるのじゃ。
どうじゃ? わかったか?」
「あの、タツヤさん……息してないんですけど……」
「ぬっ!?」
 先ほどのフライングクロスチョップが相当、
綺麗に入ったためタツヤは泡を吹いて倒れている。
それを必死に介抱する千春ちゃんとミキ。

 10分後。

続きは小説+今日の一曲。