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白紙の図書館とは?

ようこそおいで下さいました。ここ、「白紙の図書館」はHAtAが書いた、
色々なものを公開中です。

現在は2016年12月1日より再開した『キャラ日記』がメインコンテンツです。
pixivでもA4サイズで公開中。お持ち帰りは自由です。

本家サイト『白紙の図書館』も更新中。
http://hatanabe.web.fc2.com/
こちらもよろしくお願いします、。

不定期になったり、集中連載になったり波はありますが、ご容赦ください。
それではどうぞごひいきに!!

前身のブログ「はたはた鍋日記」はこちらから。
http://hatanabe.blog.so-net.ne.jp/

2016年9月30日やぶきたと鶴松改訂版#003 [小説:やぶきたと鶴松]

「『ぶるうれい』のメモリアルの味―!!」
 二人の男の声がユニゾンして、辺りに響き渡る。
「さて、今日は今大人気、メディアに露出過多の
恐山ミキさんの地元にやって参りました!!
ミキさん、よろしくお願いしますー」
「ど~も~、恐山ミキです。よろしく~。
って、露出過多は余計でしょ」
 紹介されてカメラにインサートしてきた恐山ミキ。
ご立腹なのも計算済み。
『ぶるうれい』とは今、大人気の漫才師。ノッポのボケ担当
村沢と、ちょっとぽっちゃりツッコミ担当の久留米で、
先日、大きな大会で優勝して大ブレイクし、
最近はこういうロケ番組にひっぱりだこ。
 特にこのグルメリポート企画はなかなか評判がよく、
このコーナーで認められれば一流店として繁盛するというほど。
 突撃でアポなし企画というのが売りだが、
ミキの行動は違反行為である。
 本人は善意のつもりでやったことだが、
別段変わったことではない。
「……そろそろ来るぞ」
「な……何だか緊張しますね……」
 タツヤと千春ちゃんは正直、委縮している。
二人ともコーナーの存在はTVで観たことがあり、
アポなしの体というのも知っている。
番組の収録はそつなく進み、
徐々にやぶきた蕎麦へと近づいてきた。
「ミキさん、今日の思い出のお店とは?」
「小橋町のやぶきた蕎麦というお店なの。
子供の頃以来だけど、とっても美味しくてね~。
……それにしてもこの町並み……変わってないなぁ……。
あ、あの氷屋でかき氷、食べてたわ!!」
 小橋町は人通りも多くなく、影の名店が多い。
それにより食通の間では、ちょっとした聖地となっている。
「さ!! 着きました、やぶきた蕎麦。
入ってみましょう。ごめん下さ~い」
「いらっしゃ……!?」
 威勢よく出迎えようとしたタツヤと千春ちゃんは
見事にカウンターパンチを食らう。
「久しぶりね、達也君。この店も変わってないわね」
「な…………な……!?」
「て……店長、あの人たち……まさか……!?」
「……? どうしたの? 二人とも?」
「どうしたも、こうしたもねーよ!!
そ……そちらの方々は……!?」
 そう、二人が驚いたのはぶるうれいの二人でも、
今日もセクシーなミキでもない。
後ろに控えた三人の超有名料理人。
 ミシュラン二つ星を4年連続取っている割烹料理
「かぶらぎ」店主、浅沼源一郎。
 アルメリア国際ホテルのオーナーシェフ、並木橋京。
 中華の世界では知らない者はいない生ける伝説
「老々酒家」料理長、孫典君。
いずれも超辛口で有名な三人である。
「何よ、ハトが猟銃くらったような顔して」
「ばっ……、そりゃ、驚くだろーが!!
何ちゅう人たちを引き連れてんだ!!」
タツヤと千春ちゃんは素直に青ざめている。
 それもそのはず。この三人に認められれば、
確かに超一流の名店の名声を手中にできるが、
彼らのおめがねにかなわなければ、廃業しても
やむなしの、大博打である。現にこの三人に潰された店は
50を超える。
「お前、どうやって連れてきたんだよ!!て、いうかこの番組、
俺も観たことあるけどいつもはこんな三人いなかっただろ!!」
 冷や汗が止まらないタツヤ。足が震える千春ちゃん。
「私の芸能界のコネクションを使えば簡単よ。
それに何の心配があるの?」
「は?」
「このお店は伝説中の伝説の名店。合格間違いナシじゃない。
更なるステップアップになること間違いなしでしょ?
感謝してよね」
「だけども、お前…それは昔の話で…」
 事情を知らないミキが妬ましくてしょうがない二人。
その時、
「あの……あなたが店主さんですね?」
『かぶらぎ』店主、浅沼がタツヤに声をかける。
「伝説の名店、やぶきた蕎麦に来られて大変、光栄です。
店主さんがお若くてびっくりしました」
「いや……そうなんですけど……」
「期待してますよ。なんせ、やぶきた蕎麦と言えば
日本一……いや世界一の蕎麦屋と名高い名店……。
我々とは格が違いますからね」
「いや……あまり、高望みされない方が……」
「何言ってんの、あの味なら、問題ないじゃない」
 事情を知らないミキがあっけらかんと口をはさむ。
 頼むからもうしゃべるな。
タツヤと千春ちゃんはもう泣きそうだ。
「お前は事情を知らないからそう言えるわけでな……」
「それでは早速、作っていただきましょうーッ!!」
「あっ!?」
 ぶるうれいの二人も空気を読まず、進行する。


続きは小説+今日の一曲。


2016年9月27日やぶきたと鶴松改訂版#002 [小説:やぶきたと鶴松]

 しかし、タツヤは何かが引っかかっている。
何だろう、と頬杖をついて椅子にもたれながら違和感の源を
脳内をフル回転させて、検索していた。
「そーだよ、どっかで見た顔なんだよな……」
「毎日見てるじゃないですか、TVで」
 千春ちゃんの意見はごもっともだが、どうやら違うらしい。
 タツヤは恐山ミキの顔をどこかで見たことがあるようだ。
「いや……ずーっと昔なんだよ、確か。誰だっけな。
えーと、誰だっけな……。
ここまで出てんだけどな……」
「?」
 今にも思い出せそうなのに、肝心な名前が出てこない。
 誰でも一度はあるであろう芸能人あるある。
そりゃあ眉間にもシワが寄る。
 そして記憶の糸を手繰ること、20分。
(この間、残念ながら一人も客は来なかった)
 そこで、タツヤの記憶からポーンと一人の人物が
ピックアップされた。
「そっか!! 山田だ、山田恵子!! アイツだ!! 
目元そのまんまだ、うっわ懐かし。
え!? 何、アイツ、今こんなケバくなってんの!?
………はー……人間、変われば変わるもんだな……」
 恐山ミキの正体を突き止めたタツヤ。はーっ……と息を
吐きだし満足げ。長いもどかしさから解放され、名探偵が
事件を解決したかの如く、タツヤは独特の爽快感を
味わっていた。それと同時に炭酸の抜けたコーラのように
放心状態に。その様子を見て千春ちゃんは、ただならぬ
危機感を持つ。
 千春ちゃんはタツヤの表情を読むことに関しては、
達人の域である。
 この表情は……。何やら嫌な予感がする。先ほどまで
あんなに怪訝(けげん)そうに見ていた恐山ミキへの表情が
明るいものになっていた。
「……えーと、店長?」
「ん?」
「……えーとですね、お知り合い……なんですか?
あのケバケバねーちゃんと」
置いてけぼりをくらった千春ちゃんは、タツヤに恐る恐る
問うてみる。
 
「ああ、同級生。小学生の時の。近所に住んでてね。
いわゆる幼馴染ってヤツだな」
 千春ちゃんの顔が若干、こわばる。幼馴染? 何と言う
好条件、好立地。
 自分の持っていないカードの存在に、羨ましさと妬ましさが
同居する。
「な……仲は良かったんですか?変な事とかして
ないですよね?まさか……」
「いやいや。アイツとは何から何までかみ合わなくてさ。
ケンカばっかりしてたよ。
昔は地味で引っ込み思案の暗い性格だから、いっつも泣いて。
そのたんびに俺、お袋に怒られてたよ。」
「そ、そーですかぁ!! 良かったぁ!! そーですよね!!
嫌いだったんですか!!
良かった、良かった!! ふぅ~……」
 その答えに千春ちゃんは、ものすごく安堵する。幼馴染……
恐れるに足らず!!
 満面の笑みで安堵する千春ちゃん。手にかいた冷や汗が、
物を言う。
 もし気になるとでも言おうものなら、いかなる手でもヤツを
亡き者に……。
 しかし、千春ちゃんがそんな危険な妄想を
めぐらせているとは一切思わず。
「え? 好きだったよ?」
「え」
 タツヤの殺人級の一言で千春ちゃんの表情が、
再びこわばる。メデューサに目を見られたかのように、石化。
がっちがちだ。がっちがち。
「ホントはいつも俺の方が悪かったし。アイツ、中学の頃に
転校してなー。告白はしてないんだよ」
「…え?」
 千春ちゃんの表情がさらにこわばる。今度は千春ちゃん
自身が妖気を纏い、その妖気が殺気と変わるまでには、
さほど時間はかからない。
 ……今回の発言でちょいストーカーにヤンデレテイストが
混ざってしまった。
「アイツ、イタコになってたのか……。まだ信じらんねぇや」
 そんな千春ちゃんの気持ちなどつゆ知らず。タツヤは椅子に
もたれかかった。
 千春ちゃん、意を決して。
「て……店長はもしかしてまだ、す、好きだったりとかは……」
 この返答次第では、自決覚悟で恐山ミキの事務所に
乗り込まんという勢い。
 どっちだ……? 千春ちゃんの命運は。
「どうだろうなぁ。実際忘れてたし……。今さっきまで。
向こうも覚えてないんじゃないかな?
覚えてても向こうは俺の事、嫌いだろうし。多分」
 このタツヤの発言で、千春ちゃんはとりあえず、
包丁の購入は保留した。
「は……はは……そうですか……」
「ん? どした、千春ちゃん? 怖い顔して」
「いや、何でも……」
 本当にタツヤは、こういう事には鈍感だ。
かくして殺人事件は未然に防がれた。

 その時、店の電話が鳴る。
(一方的に)緊迫感があった空気が若干和む。
電話に出る千春ちゃん。
「毎度どうも、やぶきた蕎麦でございます」
 パニックから完全に営業モードに切り替わる。
このスイッチの切り替えの早さが何ともはや、頼もしい限り。
「あぁ、私ナホベリプロの鬼島(きじま)と申します。
店主さんはいらっしゃいますでしょうか?」
「ナホベリプロ?」
 ナホベリプロといえば大手の芸能事務所。蕎麦屋には到底、
縁のない関係に思える。しかし千春ちゃんは瞬時に事態を悟った。
「まさか!! 私をスカウトですか?いや~、まいったなぁ~!!
そりゃあ私、可愛いってよく言われますけど、芸能人ですか? 
はたまたモデルですか? どうしよう、困っちゃったな~」
「んなワケあるかい。取材の申し込みですよ」
 勘違い上等の千春ちゃんをクールにいなす鬼島と名乗る男。
 千春ちゃんは一気にテンションが落ちる。マカオタワー
バンジー並みに。
「あー……店長!! お電話です」
「ん?どこから?」
「芸能事務所みたいですよ?」
「……? 芸能? まぁいいか。あい、代わりました。
店主の波橋達也です」
「あー……あんたが店継いだの。お母さんは?元気にしてる?」
「ん?」

続きは小説+今日の一曲。


2016年9月25日やぶきたと鶴松改訂版#001 [小説:やぶきたと鶴松]

お久しぶりです。
とりあえず、生きてます。
最近は再び起動するため、準備中です。


そこでこの小説「やぶきたと鶴松」ですが、
とあるサイト様の投稿コーナーに
掲載したのですが、まず長いので
読まれないという(苦笑)


そこで数少ない感想をもらい、
教わったことを踏まえ、
加筆したんです。


とりあえず今日から
改訂版を載せていきます。
一回の公開のテンポは上げていきます。


その事を踏まえて
楽しんでいただけたら幸いです。


続きはやぶきたと鶴松改訂版と今日の一曲。


2016年9月14日やぶきたと鶴松#016 [小説:やぶきたと鶴松]

 腕を組んで仁王立ちする辰衛門じいちゃん
眼光鋭く、覇気にあふれている。

「立てィ、タツヤ!! 今から蕎麦のイロハを
脳髄からつま先まで叩き込んだるわいッ!!
 ワシが納得するまで今日は寝かさんからな!!
覚悟しておれぃ!!」

「なぁ恵子……お前が言ってたのって、
……こういうことか……?」

「そうよ? ビックリした?
尊敬したでしょ?普段なら、何百万て
取る奥義なんだから。
感謝しなさいよ~?」

 未だに信じるのが困難な状況に、
ミキは得意げになっている。

「取りあえず……俺、顔洗ってくるわ」

「あ、私も……」

「あ!? 何よもう!!
いい加減に信じなさいよッ!!
ちょっ……こらぁッ!!」

 タツヤと千春ちゃんはちょっと眠い目を
しぱしぱさせながら洗面所へと入って行った。


「……さて……タツヤよ」

「ん?」

「蕎麦における一番重要な
要素は何だと思う?」

 辰衛門はタツヤに問いかける。
 タツヤは長考の後、

「そうだなぁ……やっぱり
香りとノド越しかな……いや、
コシも捨てがたい……でもなぁ……」

「愚か者めがァッ!!」

「ぐはぁッ!?」

 一つに絞りきれないタツヤに対し、
辰衛門は怒りのフライングクロスチョップを
喉元に的確にかました。

「ぐちぐち、ぐちぐちと……。
こんな簡単なこともわからんのか?
それでもワシの孫かっ!!
お前が今、上げた要素は
確かに重要ではある……。
蕎麦はまさに総合芸術じゃ。
何一つ欠けても、
真の蕎麦にはならんのじゃ」

周りが何やら慌てているが、辰衛門は続ける。


「しかし!! 蕎麦打ちに
真に必要な要素……。
それは……ん~……魂……そう、
ハートソウルじゃ!!
これが極限まで高まれば、
自然と蕎麦の呼吸を感じ、
理屈うんぬんでは語れぬ
究極の美味なる蕎麦ができるのじゃ。
どうじゃ? わかったか?」

「あの、タツヤさん……気絶してるんですけど」

「ぬっ!?」


 先ほどのフライングクロスチョップが相当、
綺麗に入ったためタツヤは泡を吹いて倒れている。

 それを必死に介抱する千春ちゃんとミキ。


 10分後。


「げほっ、げほっ」

「だ……大丈夫ですか?
お水要ります?」

「ありがと……危うく俺も、
召されるトコだったよ……」

何とか意識を取り戻したタツヤ。


続く


続きは今日の一曲。


2016年9月8日やぶきたと鶴松#015 [小説:やぶきたと鶴松]

 その言葉と同時に、確かに店舗全体が揺れた。

 するとあの青白い光はタツヤの祖父、
波橋辰衛門、その人になっていた。

 肌は光と同じ青色で、服装は死に装束。
肉体は78歳で亡くなったとは思えないほど屈強で、
ひげを蓄え、髪は後ろで束ねた若干強面の老人。


「ここは……?」


 辰衛門はあたりを見回す。
懐かしい自分の店を見て、
ここが現世であることを確認していた。
そして目の前には、孫の姿があった。

 その孫は流石に度胆(どぎも)を抜かれていた。


「じ……じいちゃん? 
本当にじいちゃんなのか……?」

「……す、すごい……」

「おお、お前は……達也か?」

 半ば放心気味のタツヤと千春ちゃんに
辰衛門は近づいていき、そして、


「ふんっ!!」

 タツヤの後頭部に思いきり
ゲンコツを振り下ろした。

「いっ……痛ってェ!! 何すん……」


「何、じゃないわい!!
ワシはあの世で見ておったんじゃ!!
不甲斐ない蕎麦を作りおって!!
悲しかったぞ!!常連さんも
ごひいきさんも手放しおって!!
かー!! ワシの孫とは思えん、
ていたらく振りじゃ!!」


「そりゃ……教わることも
できなかったし……」

「口答えするな!!」

「痛ェ!?」

 再びゲンコツがタツヤに降りかかる。

「すごい…どうやってこんな霊能力を…」

 千春ちゃんはまだ驚きから抜け出せないでいた。


「昔、好きだったサッカー部の
キャプテンが交通事故で亡くなってね。

告白できなかったんで、
何とか想いを伝えたかったのよ。

そこで告白するために、
恐山で7年間修業して、降霊術を
身に着けて今に至るってわけ。

まあ、その人にはフラれちゃったんだけど」

 千春ちゃんの疑問に答えるミキ。

「何だか……漫画みたい……」


続く


続きは今日の一曲。


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