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白紙の図書館とは?

ようこそおいで下さいました。ここ、「白紙の図書館」はHAtAが書いた、
色々なものを公開中です。

現在は2016年12月1日より再開した『キャラ日記』がメインコンテンツです。
pixivでもA4サイズで公開中。お持ち帰りは自由です。

本家サイト『白紙の図書館』も更新中。
http://hatanabe.web.fc2.com/
こちらもよろしくお願いします、。

不定期になったり、集中連載になったり波はありますが、ご容赦ください。
それではどうぞごひいきに!!

前身のブログ「はたはた鍋日記」はこちらから。
http://hatanabe.blog.so-net.ne.jp/

2016年8月31日やぶきたと鶴松#010 [小説:やぶきたと鶴松]

 時が経つのは早いもの。

 気付けば4日が過ぎていた。
タツヤはほぼ寝ていない。千春ちゃんは
学校の時間以外は、毎日通いづめている。

 何とか味は普通の店並みには、なってきた。

  しかし、昔のやぶきた蕎麦とは
味の方向性も違ううえ、
たとえ方向性があっていたとしても、
全盛期の頃のものには遠く及ばない。
 
 途方に暮れるタツヤ。そんなタツヤに、
「昔のやぶきた蕎麦って、
そんなに美味しかったんですか?」

 千春ちゃんが疑問を投げかける。

「そうだなぁ……。俺、舌は良くないから
もう忘れちまったけど、
母さんやじいちゃんの蕎麦は
こんなものじゃなかったのは覚えてるなぁ」


 タツヤは椅子に寄りかかり、休憩。

「特に母さんの蕎麦はじいちゃんを超えててな。
密かにじいちゃんが嫉妬してたよ」

「……そのお蕎麦食べてみたかったですね……」

 黄昏る二人。しかし、時間は残りわずか。

「……さて、無い物ねだりしてもしょうがない!!
もう一丁、気合い入れて頑張るか!!」

「おーっ!!」

 そして5日目の朝を迎えた。


「『ぶるうれい』のメモリアルの味―!!」

「さて、今日は今大人気、メディアに露出過多の
恐山ミキさんの地元にやって参りました!!
ミキさん、よろしくお願いしますー」

「ど~も~、恐山ミキです。よろしく~。
って、露出過多は余計でしょ?」


 『ぶるうれい』とは今、大人気の漫才師。
ノッポのボケ担当村沢と、
ちょっとぽっちゃり
ツッコミ担当の久留米

最近はこういう
ロケ番組にひっぱりだこ。


特にこのグルメリポート企画は
なかなか評判がよく、
このコーナーで認められれば
一流店として繁盛するというほど。

「……そろそろ来るぞ」

「な……何だか緊張しますね……」

 タツヤと千春ちゃんは正直、委縮している。

番組の収録はそつなく進んでいる。

「ミキさん、今日の思い出のお店とは?」

「小橋町のやぶきた蕎麦というお店なの。
子供の頃以来だけど、
とっても美味しくてね~。
……それにしてもこの町並み……
変わってないなぁ……。
あ、あの氷屋でかき氷、食べてたわ!!」


 小橋町は人通りも多くなく、
影の名店が多い。

 それにより食通の間では、
ちょっとした聖地となっている。

「さ!! 着きました、やぶきた蕎麦。
入ってみましょう。ごめん下さ~い」

「いらっしゃ……!?」

 威勢よく出迎えようとした
タツヤと千春ちゃんは
見事にカウンターパンチを食らう。


「久しぶりね、達也君。
この店も変わってないわね」

「な…………な……!?」

「て……店長、あの人たち……
まさか……!?」

「……? どうしたの? 二人とも?」

「どうしたも、こうしたもねーよ!!
そ……そちらの方々は……!?」

続く


続きは今日の一曲。


2016年8月30日やぶきたと鶴松#009 [小説:やぶきたと鶴松]

 しかし、ここでミキから千春ちゃんの
胸をえぐる一言が放たれる。
]
「関係ない事無いわよ。私も好きだもの」

「はぁ!? な!?  ……な…ん…だと…!?」

 今日一番の動揺を見せる千春ちゃん。

「なぁ、アイツ、なんて言ってるんだ?」

「店長は黙ってて下さい!!
これは私とあの女の問題なんです!!」

「は…はい…。…?」

 あまりの剣幕にたじろぐタツヤ。
だが、全く意味と理由が分からない。


「い、いいですか!? 取材には応じますけど
少しでも変なことしたら、ただじゃ
おきませんからね、いいですね!?」

「はいはい、安心なさい。
悪いようにはしないわよ、お嬢ちゃん」

「あ、あなた、私とそんなに
歳変わんないでしょッ!?」

「えーと、千春ちゃん、そろそろ代わって」

 受話器を受け取るタツヤ。

「……で? いつ頃来るんだ。
こちとらヒマでな。いつでもいいんだが」

「……ヒマ? 何でヒマなのよ?
あんたんとこの蕎麦屋、
いつも行列、できてたじゃない?」

「……うぐっ……い、いや……その……」


 明らかに動揺し冷や汗が流れるタツヤ。

ミキは若干、疑問を感じながら続ける。

「……? まあ、いいわ。5日後に行くから。
そのつもりでね。あんたんとこの
美味しいお蕎麦、期待してるわよ?」

「……お……おう……」

「じゃ」

 そうして電話は切れた。


「店長!! やってやりましょう!!あの女を
超絶美味しいお蕎麦で見返してやるんです!!」

「な…何でそんなに殺気立ってんの?」

千春ちゃんの背後に殺意が見え隠れする。

女性の恋心とはこうも凄まじいものなのか。

「私の事はいーんです!!
……いや、良くないんですけど、
いいんですッ!!」

「お…おう…」

 タツヤには千春ちゃんが何故、
こんなに殺気立っているか、
見当もついていない。


「早速、美味しいお蕎麦を
作るために特訓ですよ!!
ホラ、急いで!! 
5日しかないんですから!!」

「…どうしちゃったの? 本当に?
何か怖いよ……も~……」

(あの女にだけは店長は渡さないんだから…)

 千春ちゃんの中では、タツヤの私物化は
もう決定済みのようである。

 こうして、タツヤと千春ちゃんの
特訓の日々が始まった。

続く


続きは今日の一曲。


2016年8月29日やぶきたと鶴松#008 [小説:やぶきたと鶴松]

 今、取材に来られても昔の味は出せない。

だがTVに取り上げられれば
店の経営も少しは変わるかもしれない。

「どうすっかな……」

「店長。鬼島さん、何て?」

「鬼島? いや、恐山ミキがさ、
ウチの店を取材したいんだと。
どうしようか」

「……恐山ミキ!?
ちょっと代わってください!!」

 千春ちゃんが半ば強引に受話器を奪い取る。

「あのー、恐山ミキさんですか?」

「ええ、そうよ? あなた何? 突然」
 多少、息荒げに千春ちゃんは続ける。


「店長とは幼馴染というのは本当ですか?」

「ええ。だからこうして電話してるの」

「どうぞ、取材に来てください!!
こっちは万全の態勢で
お待ちしてますから!!」

「おい、千春ちゃん!?」

 勝手に話を進める千春ちゃんの
言葉を聞いて、慌てるタツヤ。

しかし千春ちゃんは止まらない。

「店長の元カノか、何か知りませんが、
あなたには負けませんから!!」

「……? 何言ってるのか、
よく分かんないんだけど」

 唐突すぎて、ミキは一瞬理解できないでいた。
しかし、勘のいいミキは事態を飲み込む。


「……ははぁ、アナタ。アイツが好きなの?」

「……!? な、何でわかっ…!?
いやいや!! そんなことないですよ!!
それにあなたには関係ないでしょ!?」

 ミキの指摘に動揺を隠せない千春ちゃん。
横で見ているタツヤは事情がよく分からない。


続く


続きは今日の一曲とちょっとお詫び。


2016年8月28日やぶきたと鶴松#007 [小説:やぶきたと鶴松]

「えーと……? どなた様でしょうか?」

「恐山ミキ……といえばわかるかしら?」

「……え? 恵子? 恵子か!?
おー!! 懐かしいな!!
元気にしてたか? お前、芸能人になったのか!!
最近のテレビでの活躍、よく観てるよ!!
実はさ、ほんのさっきまで気付かなくてよ!!」

「その名前で呼ばないで。その名前は捨てたの。
それに芸能人じゃないわ。私は霊媒師よ」

 本名を呼ばれたとたん、気分を害したミキ。


「で? 何の用だよ、芸能人がウチに」

「……芸能人じゃないって言ってるでしょ。
まあ、いいわ。今日は取材の申し込みで
電話をかけたの。今度TV番組で私の地元を
ロケすることになってね。
まあ、よくあるバラエティ番組よ。
そこでアンタの店を取材させてほしくてね。
アポを取るため、私自ら取材の電話を
してあげたの。感謝なさい」


 ミキの言葉は上から目線と、
高飛車な印象が感じられ、
昔の山田恵子のイメージとは
かけ離れていた。

 当然、タツヤは面白くない。

「……お前、随分変わったな。
なんつーか、生意気になったというか」

「うっさいわね。垢抜けたって
言ってもらえる?
で?どうすんの? 取材受けるの?
タレント直々に交渉する事なんて、
滅多にないんだからね」

「お前今、自分でタレントって
言ったよな?」

「……アンタのその揚げ足取るところ、
ホント、嫌いだわ……。嫌ならいいわよ?」


「ちょっと待った」

 タツヤは少し悩む。

続く


続きはお詫びと今日の一曲。


2016年8月26日やぶきたと鶴松#006 [小説:やぶきたと鶴松]

 その時、店の電話が鳴る。
(一方的に)緊迫感があった空気が若干和む。

電話に出る千春ちゃん。

「毎度どうも、やぶきた蕎麦でございます」
 パニックから完全に営業モードに切り替わる。
このスイッチの切り替えの早さも頼もしい。


「あぁ、私ナホベリプロの鬼島(きじま)と申します。
店主さんはいらっしゃいますでしょうか?」
「ナホベリプロ?」

 ナホベリプロといえば大手の芸能事務所。
蕎麦屋には到底、縁のない関係に思える。

 しかし千春ちゃんは瞬時に事態を悟った。

「まさか!! 私をスカウトですか?
いや~、まいったなぁ~!! そりゃあ
私、可愛いってよく言われますけど、
芸能人ですか? はたまたモデルですか?
どうしよう、困っちゃったな~」

「んなワケあるかい。取材の申し込みですよ」
 勘違い上等の千春ちゃんを
クールにいなす鬼島と名乗る男。


「あー……店長!! お電話です」

「ん?どこから?」

「芸能事務所みたいですよ?」

「……? 芸能? まぁいいか。
あい、代わりました。店主の波橋達也です。」

「あー……あんたが店継いだの。
お母さんは? 元気にしてる?」

「ん?」


 電話口の声の主は明らかに
女性のものに変わっていた。

 しかも、どこかで聞き覚えのある声。
昔から聞き覚えもあり、
最近もよく聞く声だった。


続く


続きは今日の一曲。


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